本記事では「株式上場廃止マネーゲーム」をテーマに過去の事例と注意点を解説します。
個別株のリスクとしてあるのが「上場廃止」
上場廃止前には様々な憶測から株価が何倍にもなるマネーゲームが繰り広げられます。
そこで、過去の事例からマネーゲームの危険性について解説します。
【記事の結論】
上場廃止前の株は触るな危険。
短期間で投資額が10倍以上になる可能性があるも多くの投資家が損失を出す。
最悪、買い手が付かずに資産が0になる可能性もあり。
【驚愕】株式上場廃止で起こるマネーゲームとは?
株式上場廃止前にはテンバガーなど驚愕のマネーゲームが発生します。
マネーゲームは魅力があるも、参加はおすすめできません。
個人的な意見としては、資産形成をしたいなら「絶対に触るな!」と自身を持って言います。
上場廃止前の値動きは、投機的な動きのみで完全なるギャンブルです。
本記事の流れとしては
- 株式上場廃止になる原因をチェック
- マネーゲームの事例を確認
- 上場廃止株を買わないための対策
の順番に解説を行います。
株式上場廃止となる3つの原因

上場廃止となる原因は以下3点です。
- 債務超過及び破産
- TOBによる企業買収や子会社化
- 流通株式数、時価総額が基準を下回る
順番に解説していきます。
原因①債務超過及び破産
債務超過とは負債の総額が、企業の資産の総額を上回る事を指します。
シンプルに解説すると、会社が保有するすべての資産より借金が多い状態。
日本の証券取引所ルールとして、「連結決算が2年連続債務超過となると上場廃止」というルールがあります。
単年ではなく2年連続という点は覚えておきましょう。
原因②TOBによる企業買収や子会社化
いわゆる株の「公開買付」です。
過去の事例では、「(3938)LINE株式会社」が株式公開買付にて上場廃止が決定。
ソフトバンク株式会社(コード:9434、市場区分:市場第一部)及びNAVERCorporation(東証非上場)(※)(以下「公開買付者」と総称する。)が実施する同社株式の上場廃止を前提とした公開買付けについて、賛同の意を表明しました。
TOBによる上場廃止の場合、基本的にマネーゲームは発生しません。
理由としては、プレミアムが乗せられた公開買付価格にサヤ寄せした後、株価は大きな変動がないためです。
20%程度の上乗せで買い取りが行われるため、保有している多くの投資家が利益を出せるのが特徴。
詳しくは、以下記事で解説しています。

原因③流通株式数、時価総額が基準を下回る
「流通株式数」、「時価総額」も上場廃止の要因となります。
明確な基準は、上場している市場によってルールが異なります。
詳細は以下の通り
例:二部上場銘柄の場合
- 流通株式数:2,000単位未満
- 流通株式時価総額:5億未満
この基準を下回った場合、
「監理銘柄」⇒「整理銘柄」
となり約1ヶ月後上場廃止となります。
以上、3点が上場廃止になる要因です。
株式投資マネーゲームの事例2選

続いて、具体的なマネーゲームの事例を解説します。
事例企業①イーター電機
イーター電機は2016年7月に上場廃止となりました。
事業は、スイッチング電源を販売。
2016年3月末に2回目の債務超過となり、ジャスダック市場から上場廃止が決定。
イーター電機のマネーゲームは以下の通り
5月18日 | 債務超過が発表され売りが殺到 株価55円⇒24円 |
---|---|
6月24日 | 上場廃止が決定 |
6月27日 | 株価9円からマネーゲーム開始 |
7月6日 | 株価35円に(1週間で4倍) |
7月22日 | 上場廃止 株価6円 |
6月27日株価9円からの突然のマネーゲームで株価4倍。
株価が上昇する材料はもちろん有りません。
続いて、タカタです。
事例企業②タカタ
タカタは2017年7月に上場廃止となりました。
事業は、シートベルト、エアバッグなどの製造販売です。
特に、エアバッグが主力事業にあり全世界でシェア20%とグローバルな展開を行っていました。
但し、エアバッグの不具合が見つかり米国市場最大(3,400万台)のリコールが発生。
結果、債務超過となり民事再生法を申請し上場廃止が決定しました。
タカタのマネーゲームは以下の通り
6月16日 | 民事再生法申請の情報流出 |
---|---|
6月26日 | 民事再生手続き開始 |
7月7日 | 株価15円からマネーゲーム |
7月14日 | 株価153円(10倍に) |
7月26日 | 株価18円で上場廃止 |
7月14日以降1週間で株価は10倍に(15円→153円)
上場廃止8営業日前に連日のストップ高と激しいマネーゲームが繰り広げられました。
2つの事例を解説しましたが、短期間で資産が何倍にもなる点が魅力です。
結論:マネーゲームは触るな危険

ここまで、マネーゲームの魅力をお伝えしましたが
マネーゲームは触るな危険です!
投資スタイルは人ぞれぞれですが、シンプルに「ギャンブルをしたい!」という方以外はおすすめできません。
マネーゲームでは株価が上昇する材料は皆無。
投資家達の短期的な「利ザヤ」を得るための白熱した戦いです。
例えるなら、いつか必ず爆発する爆弾を回しているといった状況。

たしかに、マネーゲームに運よく勝利すると短期間で資産は何倍にもなります。
但し、注目するべきは上場廃止時の株価です。
- イーター電機:35円⇒6円
- タカタ:153円⇒18円
大きく儲けた投資家の裏に、大損をしている投資家達が沢山います。
最悪の場合、「買い手が付かず紙屑になった・・・」という方も少なくありません。
また、一度美味しい思いをしたら、
となるのが人間です。
以上の理由から、マネーゲームへの参加は辞めることをおすすめします。
上場廃止株を買わないための3つの対策

対策①購入前にスクリーニングを行う
個別株を購入前に必ずスクリーニングを行いましょう。
上場廃止基準として
- 債務超過及び破産
- 流通株式数、時価総額が基準を下回る
という基準があるため、「購入する株は大丈夫なのか?」を必ずチェックしておきましょう。
株のスクリーニングと聞くと難しく感じる方もいると思いますが、ツールを活用することで手軽に企業分析が可能です。
スクリーニングツールについては以下記事で詳しく解説しています。

対策②投資信託を購入する
「絶対に上場廃止株を購入したくない」という方は、広く分散された投資信託の購入がおすすめです。
- 日経平均
- S&P500
- 全米株式
など、指数に連動したインデックスファンドであれば、スクリーニングや株価チェックも不要です。
安定した資産形成に向けて、投資信託メインに投資をするという方法も検討してみましょう。
おすすめの投資信託は以下記事で解説しています。

対策③適時開示アプリを活用する
企業が発表する適時開示は必ずチェックするようにしましょう。
重要な会社情報の開示のため、売上見込みや新製品など投資家にとって必要な情報ばかりです。
但し、保有株数が増えてくると「適時開示をチェックするのも大変・・・」という方も少なくありません。
そんな方は適時開示を自動で通知しくれるアプリを活用しましょう。

【まとめ】株式上場廃止で起こるマネーゲーム
本記事では「株式上場廃止でおこるマネーゲーム」をテーマに解説しました。
本記事をまとめると以下の通り
- 上場廃止前にはマネーゲームが発生
- マネーゲームは最後は誰かが損をするチキンレース
- 資産形成をしたいならマネーゲームは触るな危険
上場廃止前におこるマネーゲームは、極めて危険なトレードと言えます。
最悪、買い手が付かず紙屑になるリスクがあるためです。
お小遣い稼ぎでギャンブルに参加する方もいますが、上手くいった成功体験から毎々参加をしてしまう方もいます。
いつかは大損してしまうため、マネーゲームへの参加は辞めておくことをおすすめします。
以上、上場廃止前マネーゲームは触るな危険についてでした!
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