本記事では、「決算またぎはギャンブルか?」をテーマに決算発表後の動向を過去の例を元に解説します。
上場企業の責務として、株主に対して直近の業績と今後の予測を発表する必要があります。
サプライズ決算では翌日ストップ高になることも少なくありません。
このため、株式投資において決算発表は株価が大きく動く要因の1つと言えるでしょう。
但し、決算発表後の動きは、「業績拡大=株価上昇」ではありません。
株価は未来の期待が織り込まれているため、業績に連動しない点が課題。
このため、決算発表の動向から注意点を理解しておきましょう。
【本記事の流れ】
- 決算またぎの株価の動き
- 決算発表後上がる株、下がる株の特徴
- 決算またぎの注意点
決算またぎはギャンブルか?
まずは結論から解説します。
好決算を期待した「投機」トレードなら間違いなくギャンブルです。
具体的な事例を見ていきましょう。
①(4644)イマジニア決算動向
まずは、決算発表後「急落パターン」です。
「イマジニア」の事業は、モバイルコンテンツの配信やキャラクターラインセンス商品販売。
決算は以下の通り
- 営業利益は前比2.6倍
- 売上高前比1.5倍
増収増益の好業績を発表。
それにも関わらず、株価は暴落しています。
1Qの営業益4.4億円対して、2Qは約1.7億円と成長が鈍化していることが要因です。
②(8938)グロームHD決算動向
続いて、決算発表後「急騰パターン」です。
「グローム」の事業は、倉庫不動産のサブリースを展開し、現在は病院関連の事業にビジネスを転換中。
決算は以下の通り
- 営業益前比85%減
- 売上も大幅下落
前年を大きく下回る厳しい決算であるも、株価は大幅上昇。
上記の通り、「決算後の株価は業績に連動しない場合が多い」という点は覚えておきましょう。
なぜなら、投資家は「株は思惑で買って事実で売れ」という格言の行動を取るためです。
(補足)「株は思惑で買って事実で売れ」とは?
意味:株は予測で買われ事実で売られる
- 新事業が始める
- 新製品の販売が好調
こんな噂が市場に流れると投資家から「買い」が集まり株価は大きく上昇します。
但し、決算が発表され期待や思惑が事実に変わると、投資家は一旦利益を確定。
これが、「株は思惑で買って事実で売れ」と言われる由来です。

つまり、「株価は現在でなく未来の期待」で変動します。
決算が発表されると期待が事実に変わり、好業績は織り込み済みと判断され株価は急落。
この株価動向を予測する事は極めて難しく「決算またぎは一種のギャンブルである」と言われる理由です。
決算後の株価の動きは以下の通り
(感覚的な物になりますが)
- サプライズ好決算:株価が上がる
- 好決算:株価下げる
- 昨年同様:株価下げる
- 悪決算:株価大幅下落
筆者としては、決算またぎ後は株価は下がる方が多いと感じています。
決算発表後上がる株と下がる株の見分け方とは?

あくまで一例ですが、移動平均線の乖離率を見る方法を解説
移動平均線については以下の通り
一定期間における終値の平均値を線で繋げたもの
大まかな動きや現在のトレンド分析、売買タイミングの参考として役立つ指標
今回、使用するのは「25日移動平均線」です。
こちらも具体的な事例を紹介します。
①(3059)ヒラキの決算動向
ヒラキは780円スニーカーなど超低価格商品を販売しています。
(参考)ヒラキ公式ホームページ
ヒラキの決算は以下の通り
営業利益60.7%と大幅増益での着地するも、決算発表後に株価は下落。
以下、ヒラキのチャート25日移動平均線との乖離率に注目。

25日移動平均線から大きく乖離していたチャートは75日移動平均線に戻っています。
推察すると、既に投資家の期待が株価に織り込まれており、決算(事実)で売られたとも考えられるでしょう。
②(7748)ホロンの決算動向
ホロンは半導体電子ビーム測定・検査装置を販売している会社です。
決算は以下の通り
こちらは営業利益44.7%減と2Q決算は前年比マイナス。
ヒラキ同様25日移動平均線と乖離率が大きく急落しています。

これが「見分け方として正解なのか?」と言われと、例外はたくさんあります。
結論としては、決算またぎを利用したギャンブルトレードは控えることが大切です。
長期投資家にとって決算はただの通過点

決算だけでなく「中期経営計画」をチェックしましょう。
中期経営計画とは?
3~5年の将来、企業として売上・利益をどこまで拡大していくのか?を株主に発表
上記で紹介した、グロームHDの中期経営計画を元に解説。
以下、2021~2025年の中期経営計画です。

5年後には経常利益を1,000倍を宣言しています。
グロームHDは、病院関連事業に大きくビジネスを転換中。
- 病院の支援
- 病院の収益アップ施策
- 施設管理、遊休地の活用
上記事業を拡大し、大きな企業成長を宣言した形です。
長期投資家の方は、決算直後の株価変動で売却をするのではなく、中期経営計画と比較して「進捗はどうなのか?」に注目することをおすすめします。
もちろん、「不祥事」、「中期計画への進捗遅れ」などの場合は損切りを行いましょう。
購入銘柄は企業分析を実施しよう
個別株を購入する場合、企業分析・決算確認が必要不可欠。
但し、上場企業は多数あるため1つずつチェックするのは困難です。
そこでおすすめなのが、株スクリーニングアプリ活用した企業分析。
銘柄スカウターを活用すると株価の指標として使える
- PER、PBR
- 売上高増加率
- 経常利益増加率
- 大株主の構成
など、企業名を入れるだけで分析をすることができます。
企業別の四半期業績を表示。

PER、PBR推移を確認できる。

決算スケジュールが用意されており、発表を見逃すこともありません。

「マネックス証券」が提供するツールのため、気になる方は利用を検討してみましょう。
銘柄スカウターの使い方は以下で詳しく解説しています。

決算またぎギャンブルか?【まとめ】
本記事では、「決算またぎはギャンブルか?」をテーマに解説しました。
記事のポイントは以下の通り
- 好決算を狙ったトレードはギャンブル
- 好決算でも株価の急落がある
- 投資家は期待で買い、事実で売却をする行動を取る
- 長期投資家は「中期経営計画」をチェックしよう
決算前後は株価の変動率が高まるため、好決算を狙ったギャンブルトレードはおすすめできません。
業績と株価は連動しないことが多くあるため注意しておきましょう。
以上、「決算またぎギャンブルか?」まとめでした。
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