本記事では「純金積立」をテーマにメリットとデメリットを解説します。
金は現物資産のため「守りの資産」として投資家から人気を得ています。
また、純粋に所有することで得られる満足感も金の魅力です。
但し、純金積立にはデメリットもあるため本記事で詳細を深堀りしていきます。
・金の積立方法は3種
・金は価格が上がりづらい
・配当金を生まない点も課題がある
・守りの資産として手堅いポートフォリオにするのに最適
(ポイント)「楽天証券」は買付手数料が無料のため投資コスト抑制が可能。
➤楽天証券公式サイト
(基本)そもそも「金」とは?
金とは
- ネックレス
- イヤリング
- 貨幣
- インゴット
など、万人から高い価値があるものと評価された「鉱物」です。
鉱物のため、地球上に存在する埋蔵量に限界があり、「金は有限である」という特徴があります。
国別埋蔵量は以下の通り
みんかぶ先物より引用
2018年時点世界の埋蔵量は「54万トン」
現在は金の採掘技術も上昇しており、世界で年間3万トンほど採掘がされています。
つまり、新たな鉱山が発見されなかった場合、20年程度で掘りつくしてしまう埋蔵量と言えます。
これが「金は有限であり安全資産である」で言われる由縁です。
「金」と「純金」の違いとは?

金と純金には違いがあります。
「18金」と呼ばれる言葉を聞いた事がある方も多いと思いますが、18金は純金ではありません。
具体的な違いは以下の通り
- 18金:75%は金、その他は別の金属
- 純金(24金):99.99%金
「18金÷24金=金含有率75%」と24で割ることで大まかな含有率を計算することができます。
他にも10金、14金なども存在し、それぞれ24で割ることで同様に含有率を知ることが可能です。
「純金積立」3つの購入方法

純金積立を行うには大きく分けて3種類の方法があります。
方法①インゴッド、金貨の購入
田中貴金属ホームページより引用
直接インゴット、金貨を購入する方法です。
金の購入と聞くと「インゴット」をイメージされる方も多いかと思います。
方法②積立投資
月々3,000円など少額から積立投資を行う方法です。
特徴は以下の通り
- 月々3,000円以上1,000円単位で少額購入が可能
- 自動積立にも対応
- 現物への変更も可能
少額から積立ができるため、田中貴金属などで純金積立を行う投資家が多数存在します。
(参考)田中貴金属の純金積立
方法③金ETF(上場投資信託)を購入
SPDR Gold Shares (GLD)などETFで金を購入する方法です。
GLDの特徴は以下の通り
ティッカー | GLD |
運用会社 | ステート・ストリート |
ベンチマーク | 世界の金価格 |
設定日 | 2004年11月18日 |
純資産総額 | 779億ドル |
配当利回り | 0% |
経費率 | 0.4% |
ETFのメリットは、インゴットや純金積立と比較して手数料を抑えることができる点です。
(参考) GLD: SPDR® ゴールド・シェア
「純金積立」のメリット

メリット①暴落に強い(守りの資産になる)
相場の格言「有事の時は金」と言われる通り、安全資産として考えられています。
このため、「株価下落時は金は上昇する」という逆相関の関係にありました。
これが金は「守りの資産」と言われる由縁です。
ポートフォリオの一部に金を入れる事で、「〇〇ショック」など暴落に対する耐性を高める事が可能になります。
但し、あくまで傾向でありコロナショックではゴールドも同様に下落しました。

理由としては、ヘッジファンドの損失補填を目的に金を現金化した事が理由と言われています。
但し、株式と比較して暴落率は低く、守りの資産として優秀なのは間違いありません。
メリット②価値が無くなる事はない
つまり、100万円を投資した場合、価値が無くなる(0円)になるという可能性も。
但し、金の場合「有限である現物資産」のため、資産価値が無くなるというリスクはありません。
安全性が高いという点もメリットです。
【純金積立やめとけ!】おすすめしないデメリット5選

続いて、「純金積立やめとけ!」と言われるデメリットを解説します。
デメリット①資産価値が上がりづらい(上がらない)
金の資産価値は守りに強い反面、長期的にみて価格上昇は期待できません。
以下、S&P500(株式)と金の10年チャート比較です。

金価格は横ばいとなっています。
200年と長期で見た場合以下の通りです。
Jeremy Siegel, Stocks for the Long Run, McGraw-Hill; 4th Edition, 2007.
こちらの表は「200年前に1ドルを投資した場合何倍になったか?」を表したグラフです。
- 株式:700,000倍
- 長期国債:1,800倍
- 短期国債:280倍
- 金:4.5倍
- 現金:0.05倍
株式は「700,000倍」と驚異的な上昇を続けた反面、金は「4.5倍」という緩やかな成長性に。
200年という歴史でもみても、資産価値が上がりづらい点はデメリットと言えます。
デメリット②インカムゲイン(配当金)がない
株式の場合、企業が生んだ余剰利益から株主への配当が支払われます。
金の場合、事業ではなく鉱物のため配当金はありません。
インカムゲインが得られないという点もデメリットの1つです。
デメリット③管理する場合盗難、紛失リスクがある
純金を手元で保管する方も一定数いますが、「盗難、紛失リスク」があります。
小さく運びやすい金は、泥棒に入られた場合真っ先に狙われる対象です。
また、世界第4位の地震大国日本の場合、「災害により紛失する」というリスクも軽視する事はできません。
デメリット④手数料が高い
投資方法別の手数料は以下の通り
※インゴット、純金積立は田中貴金属より参照
インゴット(地金) | 売却、購入共に手数料(2,000円~16,500円) |
---|---|
純金積立 | 積立手数料1.5~2.5%+年会費 |
金ETF(GLD) | 0.4%/年 |
S&P500(VOO) | 0.03%/年 |
純金積立の場合「1.5~2.5%」と高い手数料となっています。
比較的安い金ETFでも、手数料は「0.4%」と株式と比較して高い傾向にあります。
但し、2018年新設された「GLDM」を活用する方法もあるため詳細は後述します。
デメリット⑤為替の影響を受ける
金の価格は現物以外にも「為替」の影響も考慮する必要があります。
国際的な金の取引単位は「トロイオンス」です。
(1トロイオンス約31.1035g)
1トロイオンスあたりの価格は米ドルでの取引のため、日本で金を購入する場合為替リスクも認識しておきましょう。
- 1ドル100円
- 1ドル110円
上記の場合、10%程度価格影響を与えるため、為替の影響を受ける点もデメリットと言われる要因です。
純金積立デメリットをまとめると以下の通り
- 資産価値が上がりづらい(上がらない)
- インカムゲイン(配当金)がない
- 管理する場合盗難、紛失リスクがある
- 手数料が高い
- 為替の影響を受ける
「純金積立」をおすすめする人

但し、万人にNGな投資という訳ではありません。
そこで、純金積立をおすすめする人を解説します。
①数億を超える資産を保有している人
既に数億を超える資産を保有している方は、金への投資がおすすめです。
メリットで解説した通り、「暴落に強く」、「価値が無くなる事がない」ため、現金のインフレ対策として保有を検討してみましょう。
②手堅いポートフォリオにしたい人
暴落に強いポートフォリオにしたい方は、保有資産の一部を金にするのもおすすめです。
但し、「資産価値が上がりづらい」、「配当金が出ない」など純金積立のデメリットもしっかりと認識しておきましょう。
20~30代などリスク許容度が高く、資産形成初期の方は株式を中心としたポートフォリオがおすすめです。
③純粋に金を保有したい方
金には魅力があります。
保有することで得られる、「達成感」や「満足感」はプライスレスです。
そのため、「毎年金貨を1枚購入する」、「孫の誕生日に金貨をプレゼントする」など、資産だけではない価値があると考えます。
このため、デメリットを理解した上で金を積立するというのも検討してみてはいかがでしょう。
「純金積立」おすすめの購入方法
結論、手数料の点で金ETFの活用がおすすめです。
代表的な金ETFは以下3種(2022年2月25日データ)
※スマホの方はスライドできます。
シンボル | GLD | GLDM | IAU |
設定日 | 2004年11月18日 | 2018年06月25日 | 2005年1月21日 |
純資産額 | 640億ドル | 46億ドル | 310億ドル |
配当利回り | 0% | 0% | 0% |
経費率 | 0.4% | 0.18% | 0.25% |
株価 | 180.76ドル | 38.47ドル | 36.81ドル |
最新の株価 | 公式 | 公式 | 公式 |
「純資産額」、「歴史の長さ」を求める場合「GLD」
「経費率を抑えたい」、「手軽な株価」を求める場合「GLDM」
知名度は劣るも「手軽な株価+経費率の安さ」の点からこれから金投資を始める方には「GLDM」をおすすめします。
「どこで取引を始めたら良いのか?」と悩んだら買付手数料が無料の「楽天証券」
以下、「楽天証券」買付手数料無料ETF一覧

または、取引手数料無料の「DMM 株」の活用が最適解です。
【2022年3月19日追記】
SBI証券は買付手数料無料ETFを変更(2022年4月1日より)
変更の伴い、金ETF「GLDM」対応を発表しました。
このため、SBI証券の活用も選択肢としておすすめです。
金ETF「GLD、GLDM、IAU」の詳しい違いは以下で解説しています。

【純金積立やめとけ!】まとめ
本記事では「純金積立やめとけ!」をテーマにデメリットを解説させて頂きました。
記事をまとめると以下の通り
【純金積立メリット】
【純金積立デメリット】
未来の金価格は誰にも分かりません。
過去200年の歴史上パフォーマンスは低い結果となっていますが未来は常に不確実です
このため、「守りの資産として積立を始める」という選択肢も正しい判断と言えます。
但し、純金積立のデメリットもしっかりと認識した上で投資を始めましょう。
もし純金積立を行う場合以下2種から検討
- 「純資産額」、「歴史の長さ」を求める場合「GLD」
- 「経費率を抑えたい」、「手軽な株価」を求める場合「GLDM」
実際に積立を始める場合、買付手数料が無料の「楽天証券」
売買手数料が無料の「DMM 株」の活用が最適です。
以上、「純金積立やめとけ!」おすすめしないデメリットまとめでした。
【関連記事】株式投資の独学での勉強方法をまとめています。

【関連記事】買ってはいけない高配当株をテーマに解説しています。

【関連記事】シミュレーション取引に対応した練習アプリを紹介しています。
