本記事では、「株は売らなければ損しない」をテーマに含み損のまま株を保有するメリット、デメリットを解説します。
保有株の含み損はあくまで現在の評価であり、確定しなければ将来的に上昇する可能性がある。
このため、投資家であれば「株価が戻るまで保有をしたら良いのでは?」と1度は考える方も少なくありません。
そこで、含み損銘柄を継続保有するメリットと注意点を深掘りします。
【本記事の結論】
優良企業への投資であれば株主優待、配当金を受けることがことができる。
但し、含み損を長期で抱えることは精神的につらく、新たな投資チャンスを失う可能性がある。また、明確に損切りするべきタイミングもあるため注意しよう。
株は売らなければ損しない?
株式投資を行っている方であれば、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
筆者も、投資を始めた頃「含み損銘柄を放置すれば絶対損をしない」と考えた事も。
「含み損」はあくまで現時点の評価損であり、確定しなければ将来的に株価上昇の可能性が残されています。
本記事の結論をから言うと
「株は売らなければ損しない」という考えはリスクが高い。状況により適切な損切りは必要。但し、永久ホールドOKな投資法もある
といった内容です。
「投資内容」と「ルール」が大切なため、その理由を以下で解説します。
株を売らずに保有する3つの「メリット」

まずは、株を永久保有するメリットは以下の通りです。
順番に解説します。
メリット①配当金・株主優待を継続して貰える

株を売らずに保有を続ければ、継続して「配当金」、「株主優待」を受け取ることができます。
年1~2回配当金を受け取りながら、保有株が含み益になるまで待つことができる点はメリットです。
例:含み損5万円の銘柄で年間配当金5,000円の銘柄の場合
➤10年間継続保有で含み損が解消する
上記は一例ですが、長保保有で配当金だけで含み損を相殺することも可能。
また、株主優待を提供している企業であれば
- 割引券
- 食事券
- カタログギフト
など貰える点もメリットの1つと言えます。
メリット②損失を確定しなくて良い

損切りしないと決めることで精神面でもメリットがあると言えるでしょう。
保有株を損切りするのは、想像以上に辛い行為。
そのため、「私は損切りしない!」とルール化すれば、不要なストレスを受けることが無くなります。
メリット③無駄な手数料が不要

株の売買には手数料が必要なため、取引回数を抑えることができるのはメリットです。
(参考)手数料一覧は以下の通り
野村証券 | SBI証券 楽天証券 |
|
5万以下 | 55円 | |
10万以下 | 152円 | 99円 |
20万以下 | 115円 | |
30万以下 | 330円 | |
50万以下 | 524円 | 275円 |
100万以下 | 1,048円 | 535円 |
このため、手数料を抑える点も長期保有を続ける強みと言えるでしょう。
株を売らずに保有する3つの「デメリット」

続いて、株を永久保有するデメリットは以下の通りです。
順番に解説します。
デメリット①保有株が含み損は辛い

保有株に大きな含み損があるのは辛いと感じる方も少なくありません。
損切りをしない投資家の場合、市況によって「ポートフォリオの多くが含み損」ということも考えられます。
日々マイナスが表示されたポートフォリオを見るのは精神面で課題残ると言えるでしょう。

デメリット②新たな投資のチャンスを失う

含み損を継続保有することで、資金がロックされる点は課題。
上昇が期待できる企業を見つけても、手持ち資金が少なければ投資ができません。
このため、「しばらく成長が厳しい」と判断した場合、素直に損切りを行い新たな銘柄へ投資をすることも検討しましょう。
「含み損は絶対売らない」と決めてしまうことで、新たな投資先への機会損失はデメリットです。
デメリット③減配、無配のリスクがある

大手優良企業で合っても、長期保有となると業績不振のリスクが高まる点は注意が必要です。
2020年のコロナショックでは、旅行、外食業界を中心に長期に渡り業績不振が継続。
結果、配当金の「減配」、「無配」を発表をした企業もあるため、「配当金があるから永久保有をする」というのはリスクがあると言えます。
このため、保有企業の業績により損切りをすることも検討しましょう。
【注意】損切りするべき3つの条件
ここまで、株を売らずに保有するメリット、デメリットを解説しました。
結論としては、大手優良企業の場合含み損銘柄の永久保有も可能と言えるでしょう。
但し、含み損銘柄の損切りを推奨する以下3つの条件があります。
- 配当金が無配、減配になった時
- 企業が不祥事を起こした時
- 売上・利益率が大幅に低下した時
順番に解説します。
条件①配当金が無配、減配になった時
配当金が「無配、減配」の場合、素直に損切りが必要です。
特に、無配の場合配当金による損失カバーを行うことができません。
また、業績不振による株価下落の可能性も高いと言えます。
長期間含み損状態となる可能性が高く、素直に損切りすることをおすすめします。
条件②企業が不祥事を起こした時
不祥事を起こした企業株は損切り推奨です。
いくら不祥事が明るみになり組織改革をしたところで、大企業であればあるほど根本的な構造改革には時間が必要。
不正会計を起こした「東芝」のように不祥事を繰り返す企業も存在します。
最悪の場合、「上場廃止」の可能性もあるため企業不祥事を起こした保有株は損切りを検討しましょう。
条件③売上・利益率が大幅に低下した時
決算を確認して、売上・利益率が大幅に低下している企業は損切り推奨です。

特に、売上成長率が低下している株は注意が必要と言えるでしょう。
但し、利益率低下はベンチャー企業であれば理由によっては意識する必要はありません。
【対策】株を売らずに永久保有したい場合

- 私は絶対に損切りしない
- 永久ホールドして資産形成したい
- 含み損は全く気にしない
こんな方におすすめの投資法は以下の通りです。
①インデックスファンドを買う
インデックスファンドへ投資をすることで永久保有が可能です。
- TOPIX
- S&P500
- 全米株式
など、広く分散されたファンドの場合、数百~数千社と分散されており、「上場廃止」や「企業不祥事」のリスクは皆無。
長期積立投資をする事で「年5%前後」の運用益を受けとることができます。
おすすめのインデックスファンドは以下で紹介しています。

②米国ETFを購入する
「ETF」と「投資信託」の違いは以下の通り
ETF | 投資信託 | |
価格決定 | リアルタイム | 1日1回決定 |
売買単価 | 1口単位 | 金額単位 |
販売手数料 | 0.1%程度 | 0~3%程度 |
信託報酬 | 0.1~0.6%程度 | 0.5%~2%程度 |
配当金 | 受取 | 自動再投資 |
上場・非上場 | 上場 | 非上場 |
購入場所 | 証券会社 | 銀行・証券会社 |
株式の受渡 | 即時 | 翌営業日移行 |
ETFの強みは「配当金が受け取れる」、「即時購入可能」という点です。
「分散性を持ちながら配当金を受け取りたい」という方は、米国ETFの購入を検討してみましょう。

③買い時をずらし時間分散をする
個別株を永久ホールドしたい方は買い時を分散させる方法も検討しましょう。
1度にまとめて購入するのではなく、数回に分けて買い時を分散させることでリスクを抑えることができます。
資金量が少ない方は単元未満株を活用して、分散投資をする方法もおすすめです。
少額投資が気になる方はワンコインで投資ができるアプリも活用してみましょう。

【株は売らなければ損しない】まとめ
本記事では「株は売らなければ損しない」をテーマにメリット、デメリットを解説しました。
株を売らない3つのメリット
株を売らない3つのデメリット
株を永久保有することで「配当金を受け取りながら株価上昇を待つことができる」のは強みです。
但し、企業業績次第で減配や最悪倒産をするリスクがあります。
このため、個別株の場合状況に応じて損切りを検討しましょう。
損切りをせず永久保有をしたい方は「インデックスファンド」、「米国ETF」の購入がおすすめです。
以上、「株は売らなければ損しない」メリット、デメリットまとめでした。
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