本記事では、「商社株の特徴」をテーマに5大商社の業績を比較していきます。
商社株は「高い配当利回り」、「割安なPBR」という魅力があります。
一方、景気敏感株であり為替や市況の影響を大きく受けるなど注意点も存在。
また、5大商社でも特徴が異なるので本記事でポイントをチェックしておきましょう。
商社株の3つの特徴

まずは商社株の特徴チェックしましょう。
商社株の特徴とは?
具体的な特徴は以下3つです。
特徴①市場評価は割安な数値
商社株は万年割安な株価と言われています。
PERとPBRを見ると以下の通り
(2022年7月20日時点)
PER | PBR | |
伊藤忠商事 | 8.3倍 | 1.4倍 |
三菱商事 | 7.0倍 | 0.9倍 |
丸紅 | 5.3倍 | 1.0倍 |
三井物産 | 5.9倍 | 0.8倍 |
住友商事 | 6.5倍 | 0.7倍 |
PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)は共に割安の数値となっています。
伊藤忠商事を除く商社は1倍以下のPBRです。
割安な株価で放置される理由としては
- 事業が多岐にわたり業績予測が読みづらい
- コモディティ相場の影響を大きく受ける
- 子会社からの持ち株配当はコントロールできない
など、事業として自社でコントロールできない要素が多く、リスクが高いと評価されているのが割安で放置される理由です。
特徴②魅力的な配当利回り
商社株は高配当として有名です。
5大商社の配当利回りは以下の通り
(2022年7月時点)
配当利回り | |
伊藤忠商事 | 3.3% |
三菱商事 | 3.7% |
丸紅 | 4.8% |
三井物産 | 4.1% |
住友商事 | 4.7% |
「丸紅」、「三井物産」、「住友商事」は4%を超える配当利回りとなっています。
日本を代表する大手企業かつ高配当株であるため、長期保有をする投資家も少なくありません。
特徴③商社株は景気敏感株
商社株は資源事業の比率が高く、原油・石炭・天然ガスなどの価格に影響を大きく受けます。
合わせて、輸入商品であるため為替の影響も軽視する事ができません。
このため、自社でコントロールできない要素が多数あるため投資をする際は注意をしましょう、
最近では商品やカントリーリスクへの対応も取られており、リスク分散も積極的に実施。
コンビニへの事業投資も、リスク分散の1つと言えるでしょう。
総合商社の仕事内容
総合商社は就職人気ランキングでも常に上位を獲得しています。
三菱商事の社員数は5千人超えであり、一言で商社の仕事を解説するのは困難。
このため、大まかな仕事のポイントのみ解説をします。
①トレーディング
商社の仕事は中間業者として売主と買主を結ぶ事にあります。
- 売主:商品を世界に販売したい
- 買主:良い商品を安く購入したい
こんな双方のニーズを繋ぐのが商社の仕事です。
結果として、売主及び買主より手数料を得るのがビジネスモデルとなります。
代表的な取扱いアイテムは以下の通り
- 金属(鉄鉱石、石炭、ウラン)
- 繊維資材
- エネルギー(原油、石油製品、LPG)
- 食料(小麦、大麦、とうもろこし)
- 機械(自動車、船舶など)
担当するアイテムにより商習慣や金額など大きく異なるのも、商社の特徴と言えるでしょう。
②事業投資
分かりやすい例でいくと、「大手コンビニ」です。
生産から消費に関わる企業を子会社化することで、グループ収益拡大を図っています。
具体的な事例としては
- 三菱商事:ローソン
- 三井物産:セブンイレブン
- 伊藤忠商事:ファミリーマート
など、大手コンビニは総合商社が経営参画をしています。
コンビニで販売されているカウンターコーヒーのコーヒー豆は経営参画をしている総合商社からの購入。
これも、事業投資をするメリットの1つです。
5大商社業績、配当比較

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それでは、5大商社業績を比較していきます。
①時価総額

時価総額 | |
三菱商事 | 59,342億円 |
伊藤忠商事 | 57,887億円 |
三井物産 | 47,380億円 |
住友商事 | 23,869億円 |
丸紅 | 21,389憶円 |
5大商社すべて2兆円を超える大企業であり、日本を代表する会社です。
2020年には「伊藤忠商事」が1位になるも、2021年以降資源価格高騰の影響もあり三菱商事が1位に返り咲いています。
商社株時価総額トップ3は
- 三菱商事
- 伊藤忠商事
- 三井物産
と覚えておきましょう。
②売上

売上 | |
三菱商事 | 172,648億円 |
伊藤忠商事 | 122,933億円 |
三井物産 | 117,575億円 |
丸紅 | 85,085億円 |
住友商事 | 54,950億円 |
「三菱商事」、「伊藤忠商事」、「三井物産」3社は売上10兆円超え。
ロシアのウクライナによる石炭、鉄鉱石などの資源価格高騰が売上を上昇させた要因です。
③当期純利益、利益率
当期純利益 | 利益率 | |
三菱商事 | 9,375億円 | 5.4% |
伊藤忠商事 | 8,202億円 | 6.7% |
三井物産 | 9,147億円 | 7.8% |
丸紅 | 4,243億円 | 5.0% |
住友商事 | 4,636億円 | 8.4% |
利益率としては、「住友商事」がTOP。
2022年3月期は資源価格の高騰で各社とも純利益が過去最高を記録。
但し、ウクライナ情勢の先行きが不透明及び資源高の一服予測から23年は減益予測を発表しています。
④PER、PBR、ROE
PER | PBR | ROE | |
三菱商事 | 7.0倍 | 0.9倍 | 13.6% |
伊藤忠商事 | 8.3倍 | 1.0倍 | 19.5% |
三井物産 | 5.9倍 | 0.8倍 | 16.3% |
丸紅 | 5.3倍 | 1.0倍 | 18.9% |
住友商事 | 6.5倍 | 0.7倍 | 14.5% |
各種指標を見ると
PER:各社割安な水準
PBR:「伊藤忠商事」のみ1倍を超え。市場からの評価が高い企業とも言える。
ROE:各社10%を超える優良数値
但し、資源高の影響も受けておりあくまで現時点の数値として取扱いをしましょう。
⑤配当利回り、配当性向
配当利回り | 配当性向 | |
三菱商事 | 3.7% | 23.6% |
伊藤忠商事 | 3.3% | 19.7% |
三井物産 | 4.1% | 18.4% |
丸紅 | 4.8% | 25.2% |
住友商事 | 4.7% | 29.7% |
配当性向としても各社余裕がある状況です。
但し、2022年3月期は各社最高益を出している点も考慮して判断しましょう。
⑥自己資本比率
自己資本比率 | |
三菱商事 | 31.4% |
伊藤忠商事 | 34.6% |
三井物産 | 37.6% |
丸紅 | 27.2% |
住友商事 | 33.4% |
上記ポイントと比較すると、商社株の自己資本比率は低い傾向にあると言えるでしょう。
理由としては、ビジネスモデルから
- 固定資産が少ない
- 契約在庫など流動資産が多い
特徴があるためです。
結論としては、自己資本比率の低さはあまり意識するポイントではありません。
(結論)5大商社でおすすめの銘柄は?

2021年であれば「配当性向」、「ROEの高さ」から伊藤忠商事ですが、2022年現在賛否が分かれる状況です。
このため、以下を参考に投資銘柄を決定してみましょう。
①伊藤忠商事
以下、伊藤忠商事5年チャート

安定した右肩上がりのチャートを形成。
また、増配が続く点も魅力と言えるでしょう。

一方、配当利回りは順調な株価上昇の影響もあり5大商社では最も低い3.3%。
過去3年では2回のみ4%を超える配当利回りとなっており、「4%」を超える機会があれば積極的に狙ってみてはいかがでしょう。

②三菱商事
商社株で最も規模が大きい企業に投資をしたい方におすすめです。
以下、三菱商事5年チャート

伊藤忠商事と比較して、チャートの安定性に欠ける点は注意。
一方、配当金は増配傾向にある点は強みです。

過去3年の配当利回り推移では6%を超える場面も。
5%を超える場面では、購入を検討してみてはいかがでしょう。

③三井物産
以下、三井物産5年チャート

2021年以降好調な株価推移となっています。
また、2020年以降増配に積極的な状況です。

過去3年の配当利回りでは、5%を超える場面も。
4.5%を超える配当利回りの場面では、積極的に購入を検討してみてはいかがでしょう。

結論、投資家の考え方次第ですが安定性では「伊藤忠商事」に軍配があがります。
その他、売上規模が10兆円を超える「三菱商事」、「三井物産」についてもチェックしてみましょう。
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商社株特徴【まとめ】
本記事では商社株の特徴、5大商社の業績比較を解説しました。
商社株の特徴をまとめると以下の通り
5大商社を比較すると、安定性の点では「伊藤忠商事」がおすすめです。
株スクリーニングアプリを活用して、ターゲットの配当利回りになった際購入を検討してみてはいかがでしょう。
但し、景気敏感株であるためセクター分散を行う事が大切です。
以上、商社株特徴まとめでした。
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