本記事では「理想的なアセットアロケーションとは?」をテーマにポイントを解説します。
正しい資産形成をするには、アセットアロケーションを考えるのが大切です。
但し、資産額やリスク許容度が人それぞれ異なるため、すべての人に対応した最適解はありません。
そのため本記事では自身のアセットアロケーションを考えるポイントを解説します。
「アセットアロケーション」とは?
まずは、基本として「アセットアロケーション」について解説します。
アセットアロケーションとは?
運用する資金を国内外の株や債券などにどのような割合で投資するのかを決めること。
アセットとは「資産」、アロケーションは「配分」という意味を持つ。
1カ国にだけ投資をした場合「災害、政治、経済」の影響を大きく受けてしまいます。
「卵は1つのカゴに盛るな」という格言があるように、リスク分散を行うことが大切です。
金融庁「金融ガイド」より引用
但し、最適なアセットアロケーションと言ってもリスク許容度は人それぞれ異なり
- 年齢、家族構成
- 資産額
- 投資経験
など、様々な要素により考えが変わる点は注意をしましょう。
一例として、「世界最大の投資機関」と言われている、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のアセットアロケーションは以下の通りです。
- 国内債券:25%±7%
- 国内株式:25%±8%
- 外国債券:25%±6%
- 外国株式:25%±7%
結論、国内外の株式と債券を25%ずつ投資を行っています。
特に、国内債券はリスクが低い投資商品であるため、守りの資産もしっかりと組み込まれた構成と言えます。
上記、アセットアロケーションでの投資結果は以下の通り

2021年時点のデータですが、累計収益:102兆(利子、配当41兆)と素晴らしいパフォーマンス維持しています。
GPIFがアセットアロケーションを組んでいるように、個人投資家も自身の資産形成に向けてルールを決めることが大切です。
続いて、理想的なアセットアロケーション考えるポイントを解説します。
理想的なアセットアロケーションを考える6つのポイント

ポイント①投資商品別のリスクを認識する
リスクとリターンは相関関係にあるため、高い利回りだけを求めるのではなく自身のリスク許容度に応じて投資商品を選択する必要があります。
投資商品別リスクは以下の通り
結論、預貯金➤債券➤投資信託➤株式の順にリスクが高まります。
リスクを抑えた投資をしたい場合、債券比率を高めるのが最適です。
続いて、「1984年~2020年」1年間リターン振れ幅です。
野村アセットマネジメントより引用
投資商品だけでなく、投資国によってリターンの違いがあります。
このため、投資商品別のリスクを認識することから始めましょう。
ポイント②自身のリスク許容度を把握する
リスク許容度を考える例は以下の通りです。
【家族構成】
リスク許容度 | |
独身 | 高い |
共働き子供なし | 高い |
共働き子供あり | 普通 |
片働き子供なし | 普通 |
片働き子供あり | 低い~普通 |
まずは家族構成からリスクを確認しましょう。
【年齢】
20代 | リスク許容度「高い」 |
---|---|
30代 | |
40代 | リスク許容度「普通」 |
50代 | リスク許容度「低い」 |
60代 |
自身の年齢からもリスク許容度を考えることが大切です。
ポイント③投資商品を選択する
基本的な考えは「株式」と「債券」の比率でアセットアロケーションを組みましょう。
50代以上の方であれば、将来を見据えてポートフォリオに債券の組み入れをおすすめします。
投資期間が長くリスク許容度がある方は「S&P500」など米国インデックスファンドへの投資がベストな選択肢です。
但し、日本人であるため為替の影響を軽視することができません。
このため、外国株式だけでなく国内株式への分散も検討する必要があります。
投資商品に悩んだら「全世界株式インデックス」へ投資をすることで、時価総額に合わせて国内外へ分散投資が可能です。

「全世界株式」と「S&P500」に悩んだら以下記事を参考にしてみましょう。

ポイント④現金の比率を決める
考え方は「年齢」、「職業」などが比率を決めるポイントとなります。
【年齢】
年齢 | 株式 | 現金 |
20代 | 80% | 20% |
30代 | 70% | 30% |
40代 | 60% | 40% |
50代 | 50% | 50% |
60代 | 40% | 60% |
結論、「年齢=現金比率」を合わせる方法です。
若年層ほど資産形成ができる期間が長いため、リスク許容度が高まります。
また、職業としては「オフィスワーカー」、「フリーランス」でも違いがあり。
生活防衛資金 | |
オフィスワーカー | 6~9ヶ月 |
フリーランス(自営業) | 12~18ヶ月 |
オフィスワーカーの場合、有給制度や休業補償など会社の制度を活用する事で、生活費の一部補填が可能です。
逆に、自営業やフリーランスの場合、保証制度がないため現金比率を高める必要あります。
投資家の中には、「生活費3ヵ月以外はすべて投資に回す」という方も。
考え方は様々ですが、病気や失業など万が一の時にも対応できる現金をしっかりと確保することが大切です。
詳しくは「貯金と投資の理想的なバランス」にて解説しています。

ポイント⑤投資国を分散させる
米国株式が好調なことから、米国株投資を始める方が増加しています。
代表的な投資商品は以下の通り
- s&p500
- 全米株式
- NASDAQ-100
米国S&P500と新興国株式を比較すると以下の通りです。

結論、5倍近くリターンに差がついています。
但し、「これからの20年はどうなのか?」と言われると未来は誰にもわかりません。
新興国のパフォーマンスが米国を大きく上回るという可能性も考えられます。
「どういった未来にも対応したい」という方は全世界株式を選択するのがベストな選択です。

ポイント⑥目標金額から考える
など、将来の目標金額からアセットアロケーションを考えるのも大切です。
但し、インデックスファンドで得られるリターンは約5%程度と言われています。
このため、現実的な利回りを元に目標額を決定するのが大切です。
但し、リスク許容度は投資家ぞれぞれ異なるため、利回りだけでなく自身に合わせてアセットアロケーションを組みましょう。
金融庁資産運用シミュレーションを活用することで、必要な積立額をチェックすることができます。

アセットアロケーションを組む場合の注意点

①投資商品の変更は長期目線で行う
一部投資家の中には、頻繁にリバランスを行う方がいます。
結論としては、未来を読む行為でありあまりおすすめできません。
一度アセットアロケーションを組んだら長期目線で積立するのがベスト。
但し、10年に1度などライフステージに応じて、債券比率を上げるなど検討するのが最適です。
債券には格付けがあり、投資不適格な投資商品も存在します。
リスク分散をするためにも、BBB以上の投資適格債への投資をおすすめします。
具体的には米国債券「AGG」、「BND」紹介記事もチェックしてみましょう。

②インデックスファンドを選択する
投資信託を大きく分けると
- アクティブファンド
- インデックスファンド
の2種類に分けれます。
2つの違いは以下比較表の通りです。
インデックス | アクティブ | |
運用方法 | 指数に連動した値動き | 指数を上回る運用を目指す |
特徴 | ・年5%程度など安定的な動き ・分散性が高い |
・値下がりも値上がりも大きい ・テーマに沿った投資が可能 |
手数料 | 比較的安い | 比較的高い |
結論としては、インデックスファンドでの資産形成がベストな選択です。
アクティブファンドは、「手数料」、「分散性」に課題があります。
投資勝率としても、インデックスファンドが優位が結果となっています。
投資期間 | アクティブ勝率 | インデックス勝率 |
---|---|---|
1年 | 29.02% | 70.98% |
3年 | 28.87% | 71.13% |
5年 | 19.40% | 80.60% |
以下記事で、具体的に2つの違いを解説しています。

③金への投資は慎重に
アセットアロケーションを組む際、守りの資産として「金」への投資を検討する投資家も多くいます。
金は鉱物のため、地球上に存在する埋蔵量に限界があり、「金は有限である」というのが特徴です。
但し、著名投資家ウォーレン・バフェット氏は「金は何も生み出さない」という発言もしており、投資商品としては賛否が分かれます。
当ブログとしては、金は守りの資産として優秀なものの
- インカムゲイン(配当金)がない
- 手数料が高い
- 資産価値が上がりづらい
などの点を考慮すると、「投資初期に組み込む投資商品ではない」と考えています。
投資家の考え方に左右される部分であるため、以下記事を参考に金投資を検討してみましょう。

④不動産への投資を検討してみる
アセットアロケーションの1つとして「不動産」を組み込むのもおすすめです。
不動産投資は「ミドルリターン、ミドルリスク」であり、キャピタルゲインを生みづらく債券よりの投資商品です。
株式との相関関係が低く、現物資産であるため市況が不安定な時に心強い存在と言えます。
但し、投資物件を正しく判断する力が必要であり、まとまった資金が必要な点を考えると手軽に投資をするのは難しい現実があります。
そこで、筆者がアセットアロケーションに組み込んでいるのは、「不動産クラウドファンディング」です。
- インターネット上で出資者を募集
- 運営会社が不動産事業を行う
- 不動産から得られる賃料や売却利益を投資家へ還元
結論、不動産を共同保有しながら運用をする事業を指します。
1万円からと少額から購入ができるため、アセットアロケーションの1つに組み入れてみてはいかがでしょう。
以下、投資商品の例

他にも現在募集中のプロジェクトが掲載されているので、公式も合わせてチェックをおすすめします。
(公式)不動産投資クラウドファンディング【COZUCHI(コヅチ)】
理想的なアセットアロケーション【まとめ】
本記事では「理想的なアセットアロケーションとは?」をテーマにポイントを解説しました。
理想的なアセットアロケーションを考えるポイントは以下の通り
資産形成を行うにはアセットアロケーションを考えることが大切です。
但し、資産額やリスク許容度が人それぞれ異なるため、すべての人に最適解なアセットアロケーションはありません。
このため、「年齢」、「家族構成」、「性格」も加味して、リスク分散を行うようにしましょう。
どんな未来にも対応したい場合、全世界株式を活用してみてはいかがでしょう。
以上、「理想的なアセットアロケーション」考え方まとめでした。
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